気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人6月号 6月の扉

2014-05-29 23:03:35 | 短歌人同人のうた
そこ、水たまりだよと言う声がして靴先見れば映る春宵

中年のスニーカーに雨、まだ余白残されていることの苦しさ

(谷村はるか 中年スニーカーぶる~す)

ズックの紐きつく結んでリレーのバトン待ちしはむかしあるいはきのふ

よごれたるくつに水たまりまたぐとき何に抗ふかとほく春雷

(小島熱子 ポリフォニーの影)

早春の猫柳をコツコツと呼ぶ里人のかろき靴音

曲り角の先にあるのは良きものと惑はぬアンのやはらかき靴

(渡部崇子 やはらかき靴)

夕暮れの半地下室の窓越しに疲れた靴の繁く行き交う

靴跡を辿りてゆけば屋上ゆ空に逃げたる二十面相

(諏訪部仁 二十面相)

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短歌人6月号、6月の扉より。今月のお題は「靴」。

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