気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2012-02-20 17:27:02 | 朝日歌壇
若しあらば奇しき素性(みのうえ)語るのかミロのヴィーナス左右(さう)の掌(て)の先
(横浜市 大建雄志郎)

木の箱を逃げださむとする蛸の頭(ず)に叱るがごとく値札貼られぬ
(市川市 大河内卓之)

万華鏡にインフルエンザウィルスを入れて回している神が居る
(松本市 牧野内英詞)

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一首目。ミロのヴィーナス像が日本に来たことがあった気がする。もう四、五十年前のことだと思う。作者もそのころからミロのヴィーナスを意識していたのだろう。片腕が欠けた理由を本人に訊いてみたいという思い、よくわかる。
歌としては、ルビが多すぎるか。
二首目。生きたまま捕えられた蛸の勢いの良さが伝わってくる。「叱るがごとく」がイキイキした感じ。
三首目。インフルエンザの流行もすこしは納まって来たのだろうか。人ごみは避け、病院に行くときも、さっさと用事を済ませるようにしている。この冬の流行は凄まじかったが、それを支配している神がいて、しかも万華鏡を回すという発想が愉快だ。



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