気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人6月号 同人のうた その3

2013-06-14 16:59:24 | 短歌人同人のうた
囁くと書けば寡黙な耳三つ口に寄り添ひ聞耳立てる
(古川アヤ子)

ゼブラゾーンの人・人・人はみな他人青信号が点滅し始む
(立花みずき)

消しゴムで履歴のすべて消すやうに上履きをまづ帰りに捨てる
(西橋美保)

ベビーカーに赤子は眠りちょうどいま辛夷のはなびら散る下を行く
(猪幸絵)

百の嘘百の真実今はただ桜吹雪を見ているばかり
(山本栄子)

通りゃんせここは踏み絵を踏むようで左に立ちますエスカレーター
(𠮷岡生夫)

みどり児を抱えて若き父と母くぐる茅の輪の茅匂いたり
(平野久美子)

のたりと座る上野のパンダは中華人民共和国そのものの形
(今井千草)

父のため供花一束をあがなへば抒情の嵩が吃水線越ゆ
(大森益雄)

亡き妻にきたりし運転免許証更新のしらせしばらく見つむ
(小池光)

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短歌人6月号、同人1欄より。


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2 コメント

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Unknown (小川良秀)
2013-06-14 18:15:28
亡き妻にきたりし運転免許証更新のしらせしばらく見つむ   小池 光

なんでもないことなのだが彼にとっては複雑な思いだろう。この普通事を心理を綾に語って平凡ならざる歌にしている。愛する妻が生きていたら人生をも運転していただろうに、夫と伴に。
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Unknown (かすみ)
2013-06-14 21:16:38
小川さま

小池さんの歌は、心ひかれる歌ばかりで、どれか一首を選ぶのに悩みます。
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