気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

空に吸はるる 小潟水脈歌集

2005-08-18 18:57:06 | つれづれ
みづからの馴れぬ靴音耳に従く祝婚の帰路地下道長き

電線に逆光の鳩一羽ゐてポーポーポポーが空(くう)に吸はるる

逆に見る「\」は「夫」の形にて炬燵の上のサラ金チラシ

月四万家計へ入れて夕食の当番こなす半寄生(セミ・パラサイト)

欲しいのは平穏だけかい折り返し折り返し昇るエスカレーター

(小潟水脈 空に吸はるる 青磁社)

*****************************

小潟さんの歌集を読むと、彼女の家庭の状況や立場がわかってくる。こんな読み方は卑しいと思いつつ、わかってくる。
一首目は妹さんの結婚式の帰り道のことらしい。姉妹の結びつきが固いと、妹さんの結婚がご自分の暮らしに大きく関わってくるのだろう。地下道という場所や「耳に従く」に説得力がある。
二首目は、歌集の題になった歌。オノマトペがよい。
五首目。二句目をわざと八音にしてまで「平穏だけかい」としたところに、彼女のユーモアを感じた。
以前に作った私のエスカレーターの歌はこれ。

地下街へ下りるきだはし踏み板のいちまいいちまい床に吸はるる
(近藤かすみ 短歌人2004年10月号)

最新の画像もっと見る