数百億の乳酸菌を摂るために百円出しておつりをもらう
使い古しの輪ゴムのように役立つか役立たぬかの際を生きおり
漢方薬の漢字が我をそれとなく安心させる とりあえず飲む
とりあえず今夜は生きているだろう野菜売り場の野菜のように
燃えるごみの中には文字が多くあり言葉を連れてごみ出しにゆく
亡き妻の最期の息を思い出すたびに鳴り出すこのフルートは
食間の漢方薬のおいしさはどこかモームの短編に似る
世の中に歌人が多くいるけれど何のためだかよくわからない
カレンダーめくり忘れて数日をこの世から取り残されている
貧困に少し距離あり飯を買う所属結社の会費を払う
(足立尚彦 ひろすぎる海 ミューズ・コーポレーション)
***********************************
八雁短歌会の足立尚彦の第五歌集『ひろすぎる海』を読む。
宮崎県在住の足立さんは、奥さんを亡くしてひとり暮らしのようだ。何のストレスもなく読める歌集。
歌を作ることで救われている人の歌を、素直に読んでわたしは救われている。ありがとうございます。
使い古しの輪ゴムのように役立つか役立たぬかの際を生きおり
漢方薬の漢字が我をそれとなく安心させる とりあえず飲む
とりあえず今夜は生きているだろう野菜売り場の野菜のように
燃えるごみの中には文字が多くあり言葉を連れてごみ出しにゆく
亡き妻の最期の息を思い出すたびに鳴り出すこのフルートは
食間の漢方薬のおいしさはどこかモームの短編に似る
世の中に歌人が多くいるけれど何のためだかよくわからない
カレンダーめくり忘れて数日をこの世から取り残されている
貧困に少し距離あり飯を買う所属結社の会費を払う
(足立尚彦 ひろすぎる海 ミューズ・コーポレーション)
***********************************
八雁短歌会の足立尚彦の第五歌集『ひろすぎる海』を読む。
宮崎県在住の足立さんは、奥さんを亡くしてひとり暮らしのようだ。何のストレスもなく読める歌集。
歌を作ることで救われている人の歌を、素直に読んでわたしは救われている。ありがとうございます。