おほけなき己が人生銭湯のコーヒーミルクの壜の感触
(長野県 沓掛喜久男)
まがねふく吉備路をゆけば中学の校歌のさまに山の連なる
(岡山市 北村文男)
天草の五足の靴の路の辺に咲くドクダミの白き十字架
(チェコ クロウスカー美沙子)
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一首目。初句で大仰な入り方をしながら、銭湯のコーヒーミルクに到る落差が愉快。人間は、こういうちょっとしたものに、幸せや安堵を感じるものだ。コーヒーミルクよりコーヒー牛乳の方が身近な気がするが、地方によってコーヒーミルクと言うのだろうか。
二首目。「まがねふく」は吉備の枕詞。校歌が山の連なりを歌うというより、山がそのように連なっていると見る視点の逆転が面白い。
三首目。「五足の靴」の意味がわからなかったが、選者の高野公彦氏の解説によると、明治末期、鉄幹・白秋ら五人による西九州探訪の旅のこと。ドクダミを白き十字架と言ったところが、天草の地名と響きあって良い味わいをだしている。
(長野県 沓掛喜久男)
まがねふく吉備路をゆけば中学の校歌のさまに山の連なる
(岡山市 北村文男)
天草の五足の靴の路の辺に咲くドクダミの白き十字架
(チェコ クロウスカー美沙子)
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一首目。初句で大仰な入り方をしながら、銭湯のコーヒーミルクに到る落差が愉快。人間は、こういうちょっとしたものに、幸せや安堵を感じるものだ。コーヒーミルクよりコーヒー牛乳の方が身近な気がするが、地方によってコーヒーミルクと言うのだろうか。
二首目。「まがねふく」は吉備の枕詞。校歌が山の連なりを歌うというより、山がそのように連なっていると見る視点の逆転が面白い。
三首目。「五足の靴」の意味がわからなかったが、選者の高野公彦氏の解説によると、明治末期、鉄幹・白秋ら五人による西九州探訪の旅のこと。ドクダミを白き十字架と言ったところが、天草の地名と響きあって良い味わいをだしている。