気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-06-24 18:31:53 | 朝日歌壇
おほけなき己が人生銭湯のコーヒーミルクの壜の感触
(長野県 沓掛喜久男)

まがねふく吉備路をゆけば中学の校歌のさまに山の連なる
(岡山市 北村文男)

天草の五足の靴の路の辺に咲くドクダミの白き十字架
(チェコ クロウスカー美沙子)

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一首目。初句で大仰な入り方をしながら、銭湯のコーヒーミルクに到る落差が愉快。人間は、こういうちょっとしたものに、幸せや安堵を感じるものだ。コーヒーミルクよりコーヒー牛乳の方が身近な気がするが、地方によってコーヒーミルクと言うのだろうか。
二首目。「まがねふく」は吉備の枕詞。校歌が山の連なりを歌うというより、山がそのように連なっていると見る視点の逆転が面白い。
三首目。「五足の靴」の意味がわからなかったが、選者の高野公彦氏の解説によると、明治末期、鉄幹・白秋ら五人による西九州探訪の旅のこと。ドクダミを白き十字架と言ったところが、天草の地名と響きあって良い味わいをだしている。

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