気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

マドリガーレ 紺野裕子

2007-01-10 00:50:18 | つれづれ
ヘロドトスの旅せしといふ王の道おもひつつ一人ひるのパン食ぶ

拝火教のたかき炎は照らしけむ夜の砂漠のかぜのゆくへを

ざんぶりと青菜洗へばあすゆかむ一枚の空たちあがりたり

精神科の医者の背後の窓にゐるカラスおまへはおほく知る者

エーゲ海の潮のにほひに洗はれし一千のまどの一つをひらく

(紺野裕子 マドリガーレ 砂子屋書房)

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紺野裕子さんは短歌人会の先輩。わたしがはじめて甲府の全国集会に出たとき、ホテルの部屋が同じでそれ以来親しくしていただいている。
歌集の題の『マドリガーレ』は、あとがきによると、十四世紀イタリアにおこった声楽音楽のことらしい。紺野さんが声楽をしていらっしゃるとは、いままで知らなかった。この歌集には、海外旅行の歌がとても多い。しかも旅に出るまえから、思いを馳せて歌にしている。空想の旅へ・・・という章もある。現実はキッチンで青菜を洗っていても、生活臭にまみれずいつも美しくいられるのは、この想像力のおかげだろう。何しろ憧れるような綺麗な方である。



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2 コメント

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Unknown ()
2007-01-10 03:16:10
紺野さん、というと、以前「折々の歌」に載った、といっていた方ですね。

確か、フィッシャーマンズセーターをお爺さんが着ている、という内容だったような。

カタカナ語をロマンティックに、あるいはオシャレに使うのが上手いひとだな、と思いました。
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Unknown (かすみ)
2007-01-10 22:25:05
森さん こんばんは。
そういえば、折々のうたに載ったことは私がこのブログで紹介したんでした。すっかり忘れていました。
けっこう長いことブログをやってると、以前の記事を忘れて、自分で検索して、ああこんなことあったなあ・・・と。
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