気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

かたじけなくも 植松法子 本阿弥書房

2018-04-07 12:32:51 | つれづれ
右ひだり交互に出すを疑はぬ足に一軀ははこばれてゆく

雨粒にうたれうなづく秋海棠ははの部屋から見る母の景

十六夜と暦にあれば十六夜とうべなひ仰ぐまん丸な月

消ゴムのひとつ失せたるほどならむわれのポトリと抜けしこの世は

はろばろと高麗の風ふきわたり青磁の空をゆく鶴の二羽

大きさの目安となしてカラス、ハト、スズメはものさし鳥と呼ばるる

蚊を連れて入りこし人が蚊を置きて出でてゆきたり良夜深更

あぢさゐのつゆけき花に会はぬまま空梅雨あけてその後の雨

右岸に育ち左岸に暮らす歳月の栞のやうにひかる富士川

いつの日のわれか草生に腰おろしボンタン飴のオブラート剝く

(植松法子 かたじけなくも 本阿弥書房)




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