気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人2月号 同人のうた その2

2011-02-02 22:06:48 | 短歌人同人のうた
紅鉄漿に縁のなかりしたらちねのあはれはなやぐ死に化粧見つ
(杉山春代)

ファックスの滲むインクを凝らし見る訃報いちまい簡潔にあり
(関谷啓子)

来年も生きてることを疑はず木村書店に手帳購ふ
(大橋弘志)

そこにもここにも淋しきひとのゐるけはひ休日の街雲は見おろす
(田流子)

テレビに見て秋篠寺の伎芸天ああうつくしいといひしきみはも
(小池光)

御仏はここにおわすに傍らの説明板へと人は寄りゆく
(諏訪部仁)

母と子はかつてのわれと息子なれば奪はれやすし秋の時間は
(斎藤典子)

子の靴の小さくなりしを教へらる扉の向うへ行く朝のこと
(宇田川寛之)

娘(こ)の側へやや寄りすぎとささやかるバージンロードの道半ばにて
(大森益雄)

幾つもの願い古びて寅年の絵馬は夕日に燃えはじめたり
(渡英子)

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短歌人2月号、同人1欄から。
子供の成長、家族との別れを詠んだ歌に、自然とこころは惹かれてゆく。

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