気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌逍遥・京都の恋

2005-10-17 22:28:45 | つれづれ
ゆふがすみ西の山の端つつむ頃ひとりの吾は悲しかりけり

よき月夜すあしのつまのほの青う露にぬれたり芝生にたてば

雨がふる涙のやうな雨がふる寂しやこよひとくいねてまし

するすると衣桁の衣のおちて又もとの沈黙(しじま)にかへる春の夜

木屋町の夏のゆふぐれうすもののたもとにえりにふきしゆふ風

(九条武子 金鈴)

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佛大四条センターでの短歌講座「短歌逍遥・京都の恋」というのに行く。
講師は坪内稔典先生。
九条武子は西本願寺大谷光尊の娘であり、夫は九条良致男爵。
高貴でしかも美人。夫はロンドンに行ったきり十年帰らなかったらしい。

ここに紹介した歌の中でいいと思うのは「するすると衣桁の衣・・・」の歌。
衣桁から着物がすべり落ちる様子は、恋を連想させる。
「雨がふる」の歌は、わかりやす過ぎていまの歌壇では受け入れられないだろう。「木屋町」の歌は観光短歌というか、ポスターのキャッチコピーになりそうだ。

歌としては素朴で端的だが、歌集はその話題性でどんどん版を重ねた。
随筆・詩歌集『無憂華』(ブロマイド付き)も大ベストセラーになった。
そして本人は敗血症で、41歳で他界。
「心の花」の人だし、今で言えば俵万智というところだろうか。
いや、俵万智は、これからも活躍して注目されるだろう。



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