気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

きのうの朝日歌壇

2009-12-22 00:22:00 | 朝日歌壇
駅を出て自宅の見える角手前仕事の顔を鞄へしまふ
(匝瑳市 椎名昭雄)

すきな時すきなお菓子をすきなだけ すき間だらけの失恋期間
(東京都 立石結夏)

薔薇の香は猫の頭の柔らかさ花びらそっとまあるく撫でる
(山口市 平田敬子)

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一首目。仕事を家庭に持ち帰らない立派な家庭人とお見受けした。気分を切り替えることで、ストレスが軽減されるだろう。しかし世の中には、仕事が気になって気になって、家に帰る暇もないという「病気」もあるらしい。気の毒なことだ。この歌は、「仕事の顔を鞄へしまふ」という切り替えと客観視が出来ていることで健康と言えるし、歌として成立した。
二首目。失恋の歌だが「すき」が四回も出てきて、やっぱりまだ「すき」なんだと思わせる。すき間だらけでもいいよ、という恋愛になれば、本物なのだけれど。
三首目。薔薇の花を撫でることはめったにないが、猫の頭を撫でる感触に似ている気がする。取り合わせの妙。結句の「まあるく」が効いている。



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