気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

滴る木 吉野亜矢歌集

2006-12-21 22:53:59 | つれづれ
美しきかたちと思う忠敬(ただたか)の結びあげたる海岸線を

硝子片塀に刺しつつこんなにも人を信じぬもの美しき

地中ふかく根を張るものへ憧れを抱き樹形図の先に滴る

ら・ふらんす熟れゆく部屋に人はなく里の雛(ひいな)に会わぬ春暮れ

南中の辻を行き交う夏日傘あまた小さき影を曳きおり

(吉野亜矢 滴る木 ながらみ書房)

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未来とレ・パピエ・シアンに歌を発表しておられる吉野亜矢さんの第一歌集。
独特な感性で詠まれている歌で、なかなか解釈がむつかしい。
一首目は、伊能忠敬の地図から発想して作られたのだろう。
言葉の操作の中で、美を表現することを目指している方だと思った。



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2 コメント

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Unknown (あらつ)
2006-12-26 19:59:10
こんばんは。
「こんなにも人を信じぬもの美しき」とは、おもしろい見方ですね。
さて、近藤さんの歌が「塔」誌の12月号に載っていました。歌会というのはたしかに勉強になりそうです。小生、当地に移り住んで二年になりますが、歌を読み合う場があれば、とは最近よく思うことで、来年はなにか行動を起こしたいものです。
今年も残すところわずか。本コーナーに出会えたのはラッキーでした。お礼申し上げます。
どうぞ良いお年をお迎えください。

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Unknown (かすみ)
2006-12-26 23:34:47
あらつさん こんばんは。
角川公募短歌館で特選でしたね。おめでとうございます。わたしは今月は出しそこねました。
塔に私の歌が載ったとしたら、きっと10月の塔と短歌人の合同歌会のときの歌だと思います。
塔のみなさんは、頭の回転が速く、発言にムダがなく大変刺激になりました。どんな風に載ったのか読みたい気もします。

ここで、読んだ歌集から気に入った歌を載せていますが、ご本人の許可を得たわけでもありません。これがきっかけで歌集そのものを手に取って読んでいただけたらいいな・・と思っています。
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