風落ちて夕べ硝子戸のうち小暗し猫に猫の椅子われにわれの椅子
(酒井佑子)
砂、小石、花びら、枯葉、鳥の羽根 子の制服からこぼれくるもの
(鶴田伊津)
さしかはす林檎の枝の葉むらより窓の灯りは零れてゐたり
(佐々木通代)
千両の赤き珠実を挿しやればおとうとけふは美男となりぬ
(大橋弘志)
家々に薪積まれある冬の里色鉛筆は五色で足りる
(山下冨士穂)
いつはりのなき鉢花よ日にあてて水差しやればうすべにひらく
(阿部久美)
横書きが窮屈な日は墨を磨るもう幾年もそうして来たり
(梶田ひな子)
天気図の等圧線がうつくしい 小中英之読む冬の朝
(橘夏生)
地震のあと庭に雀は居なくなりほうほう呼べど風の音のみ
(大和類子)
この一年三つの病院わたりきてその差異もいふもつれる口に
(神代勝敏)
******************************
短歌人3月号、同人1欄より。
(酒井佑子)
砂、小石、花びら、枯葉、鳥の羽根 子の制服からこぼれくるもの
(鶴田伊津)
さしかはす林檎の枝の葉むらより窓の灯りは零れてゐたり
(佐々木通代)
千両の赤き珠実を挿しやればおとうとけふは美男となりぬ
(大橋弘志)
家々に薪積まれある冬の里色鉛筆は五色で足りる
(山下冨士穂)
いつはりのなき鉢花よ日にあてて水差しやればうすべにひらく
(阿部久美)
横書きが窮屈な日は墨を磨るもう幾年もそうして来たり
(梶田ひな子)
天気図の等圧線がうつくしい 小中英之読む冬の朝
(橘夏生)
地震のあと庭に雀は居なくなりほうほう呼べど風の音のみ
(大和類子)
この一年三つの病院わたりきてその差異もいふもつれる口に
(神代勝敏)
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短歌人3月号、同人1欄より。