気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人1月号 同人のうた 

2013-01-04 00:37:21 | 短歌人同人のうた
ことばとはこんなによごれるものなのか「絆」一字の描かれし色紙
(鶴田伊津)

過ぎつつも目に残りたるうち捨ててありける木札「未來短歌会」
(酒井佑子)

装飾をほどこされるのは本望か 樅の木に向かい問いかけてみる
(管野友紀)

一行を記す手帳の余白へと染みてくるのは秋空の黙
(守谷茂泰)

本降りの雨があがりて夕暮の風が骨身に染みてたまるか
(高野裕子)

白鳥は知るや知らずや使用済み核燃料が村にあること
(武藤ゆかり)

サーカスが来たとラジオは言つたのに広場にはただ星のふるおと
(橘夏生)

教室に『檸檬』を教え丸善に入りゆく頃にチャイムは鳴りぬ
(岩下静香)

モノクロの映画に台詞ながれいづ野添ひとみのカナリアの声
(村山千栄子)

出前用のバイクはふかく傾けりさびしい夜の碇とおもふ
(紺野裕子)

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短歌人1月号、同人1欄より。

今年も、同人のうたのピックアップや読んだ歌集の紹介などを、ぼちぼちやっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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4 コメント

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短歌人1月号 同人のうた  ()
2013-01-04 07:04:38
はっと目を引くようなシニカルな歌が多いですね。
一首目、上手ですね。


今年もよろしくお願いいたします。
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Unknown (かすみ)
2013-01-04 10:37:21
祥さま

あけましておめでとうございます。

選ぶ歌は、私の主観です。ほかの方はどうおもわれるかわかりません。
小高賢さん(夏季集会の講演)によれば、短歌人の歌は、固有名詞の歌が多いとのことでした。私もつい「野添ひとみ」などを見ると、なつかしさで選んでしまいます。

今年もよろしくお願いいたします。
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今年も (teruo)
2013-01-04 17:52:44
参考書も買えなかった中学時代、社会科の先生から無言のまま指導用の本をいただきました。
あいだに野添ひとみの小さな写真の切り抜きがはさまっていました。

私も一首目。それに十首目、「…自転車は細きつばさ濡れたり 」を連想、よい作品です。
どうしても自分に引きつけて見てしまいます。

今年もあなたによいことがありますように。
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Unknown (かすみ)
2013-01-04 22:34:29
teruoさま

あけましておめでとうございます。

万人に好まれる歌は、一般的過ぎて面白くないものです。どこかに個性が出ないといけないと思います。去年は良すぎたので、今年はゆっくり行きたいです。

よろしくお願いいたします。
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