気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人9月号 9月の扉

2011-08-30 23:59:51 | 短歌人同人のうた
髪を切る きのうの悔いも敗北も棄てて若葉の下帰りくる

消息は思わぬところに飄然と現るインターネット検索

(北帆桃子 消息)

黄熱病予防注射を待つ列にオババひとりが怯みてなるか

一頭を轢けば牢獄待つといふ地平に黒くヌーの大移動

(染宮千鶴子 怯みてなるか)

えごのきにえごの真白き花は垂れ時のあはひをほつほつと散る

くれなづむ蒼き林道あの角を曲がればいつも鹿に逢ひにき

(庭野摩里 葉群花群)

打てば鳴る鼓のように今生の西瓜の出来を耳すまし聞く

虫食いのサラダレタスの言霊を土に還れとふかく鋤き込む

(三浦利晴 わが菜園)

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短歌人9月号、9月の扉より。

北帆さん。インターネット検索でたまたま見つけた昔の知り合いの消息。もうあともどりは出来ない。今を宜うのみ。

染宮さん。マサイへ旅行されたらしい。文化の違いに驚かれたようだ。ヌーを調べたらこんな動物だった。

庭野さん。どの歌も自然のなかの暮らしの豊かさを感じさせる。「ゆるやかに葉群を包む霧雨の森の奥より山鳩のこゑ」

三浦さん。菜園でさまざまな野菜を育てておられる様子がわかる。晴耕雨読は男性の夢なのだろう。都会育ちの私には到底できそうもない。



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