気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

あめんぼ

2005-12-21 22:48:19 | つれづれ
国学者真淵が<自分の真の歌>詠み出したのは六十八歳

針ほどの身のあめんぼがふんばって脚で表面張力示す

砂たちに行動の自由与えたら湘南海岸どうなるだろう

異常なる集中力を発揮して炎天三時間庭草刈りす

一日中雪山に滑り疲れなしスキーは板に乗ってるだけで

(奥村晃作 スキーは板に乗ってるだけで)

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一首目。奥村さんは、昭和11年6月14日生まれだから現在は69歳ということになる。歌人はだれかに阿るために歌を詠むのではない。年齢に関係なく、究極<自分の真の歌>を目指すという心意気を感じた。
二首目。あめんぼはよく表面張力の例として挙げられる。あめんぼ自身は意識していないだろう。この歌から「舟虫の無数の足が一斉にうごきて舟虫のからだを運ぶ」を思い出す。奥村さんの目には、そう映るのである。
三首目。湘南海岸での海水浴の一連。砂が勝手に動き出すはずもないのに、想像してしまうところがこの作者の目。「もし豚をかくの如くに詰め込みて電車走らば非難起こるべし」という歌もあった。
四首目。この体力、集中力。真面目過ぎる「過ぎる」部分が駄目ならむ真面目自体(そのもの)はそれで佳(よ)しとして・・・の歌を思い出す。
五首目。またまた体力。やりたいことをやっているときは、疲れるかもしれないという心配はない。板に乗ってるだけでいいのだ。それを楽しめばいいんだ。

奥村晃作短歌ワールドで、永田和宏の新しい歌集『百万遍界隈』が紹介されている。新しい歌集がどんどん送って来て、それを読むことができるように、いつかなりたいものだ。

http://www5e.biglobe.ne.jp/~kosakuok/nisi.html



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