気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

狐の牡丹

2005-11-18 21:42:51 | つれづれ
ミスしても死者が出たりはせぬ仕事、そう思うしかない冬晴れに

ふたりの子生みたる妻は湯に座る 運がよかっただけかもしれぬ

歌人の名は歌人が憶えいたるのみ狐の牡丹に昼の雨ふる

(吉川宏志 海雨)

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吉川宏志は教科書関係の出版社に勤めておられるらしい。
一首目。あとで気付いて正誤表を入れなければならないような厄介なことになったのだろう。だれにでもミスがあるとはいえ、仕事は仕事。どこかで人の命に関わっていないだけマシと言い聞かせる気持ち。この「、」と一字開けが効果を持つ。
二首目。一字開けで読者が息をつく分、ほっとさせ想像させるものがある。上句と下句の微妙な距離。
三首目。そうなんだなあ。マイナーであっていいはずはないんだけれど。
狐の牡丹はさみしい花だ。
(歌集の中でまとまって出されたものから、ちょいちょいと拝借するのは失礼かと思いつつ、心に残った歌につれづれにコメントしています。画像は花の名前小辞典さまからお借りしました)

インフルエンザの予防接種、いちおうしたものの効果はあるのだろうか。
安心料として一回3000円。

枯れ葉色シャツのひだり袖そで山のした十五センチあたり這ふ虫
(近藤かすみ)

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