気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2008-11-09 22:52:53 | 朝日歌壇
白菜の苗八方に葉を広げ陽を閉じ込める準備を急ぐ
(蒲郡市 古田明夫)

パソコンの向こうにひとがいるんだとアイスクリーム食べて深呼吸
(小平市 萩原慎一郎)

夜の雨 まだ雨である安堵さで心を音の受け皿にする
(北海道伊達市 今 奈奈)

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一首目。店で売っている白菜しか見ることはないのだが、畑にある白菜はこの時期、出来るだけたくさんの陽を浴びるように葉を広げるのだろう。収穫される前の白菜の様子を思い出させてくれる歌だ。
二首目。パソコンに向かっていると、その向こうにものすごい数の人がいることを忘れてしまいそうになる。こうしてブログに文章を書くと、不特定多数の人に読まれる可能性があるのに、ついプライベートなことをおしゃべりしたくなる。実際、自分自身のこと、家族のことを垂れ流し的に書く日記は多い。またそれをついつい読みに行ってしまうのだが・・。ときどきは冷たいアイスクリームを食べて、深呼吸して、冷静にならなければいけない。
三首目。この歌だけでは、ちょっと意味をつかみかねるのだが、作者の住所が北海道であることから、雪の季節が間近であることが伝わってきた。雨なら音がするが、雪はほとんど音がない。雪が積もると周りの音を吸収して、本当にしんと静かになってしまう。「安堵さ」という言葉にすこし違和感があるが、「心を音の受け皿にする」という表現が新鮮。

だれにでも裸体をさらすマネキンのやうな日記をまた読みに行く
(近藤かすみ 題詠マラソン2004)


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