気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2006-03-20 22:38:33 | 朝日歌壇
ちぎり絵の和紙貼るごとくやわらかに島をかさねて夕映ゆる瀬戸
(香川県 山地千晶)

子の二足歩行とともに春は来るうさぎの靴を履かせてやらな
(東京都 鶴田伊津)

目の届くところに花を飾りしが空を見ている病みたる母は
(栃木市 飯塚哲夫)

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一首目。情景が目に浮かぶきれいな歌。ちぎり絵の和紙でやわらかさが表現されている。作者はいつもこの瀬戸内海を見て暮らしておられるのだろう。
二首目。伝い歩きから二足歩行に成長した子供。あたりまえすぎて二足歩行という言葉を、私はもう思いつけない。小さい子供がいるからこそ出る言葉。この時期にどんどん詠ってほしい。結句の「履かせてやらな」から、ふと小中英之の「身辺をととのへゆかな春なれば手紙ひとたば草上に燃す」を思い出した。
三首目。病室にかざった花より空を見る母。空は、そらかもしれないし、空中のくうかもしれない。窓から外の見えないベッドというのも多い。空(くう)と読むとますます切なくなる。

子育てはあ、あつといふ間笑顔しか見せぬ娘が卒業したり
(近藤かすみ)


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