気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人1月号 同人のうた

2017-01-04 11:54:53 | 短歌人同人のうた
モノレールは意外と揺れて空想をまた取り落とす秋晴れの日に
(猪幸絵)

蛾のねむり知らざりし四十年、ながき絵巻の空のそこここに飛ぶ
(内山晶太)

身支度の鏡のなかに降る雪は着地をなさずのらりくらりと
(阿部久美)

水流が馬の筋肉に見えるとき力が力を征す気配す
(生沼義朗)

ごきげんな秋のわたしをタバコとかくちぶえな気分に巻き込むな
(斉藤斎藤)

顔のなき茹で玉子のから剝きゆけば顔のなきゆで玉子あらはる
(真木勉)

コスモスの庭にたたずみ見わたせば風の抜け道あの世への道
(杉山春代)

朝のゆかより拾ふごきぶりの肢(あし)二本ほか何もなしこの死をよみす
(酒井佑子)

一つずつ終わらせてゆく些事・大事 冬空晴れる東京の街に
(西勝洋一)

渡り来て冬のいそぎに鳴きかはす水鳥のこゑは枯葦のなか
(渡英子)

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短歌人1月号、同人1欄より。

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