モノレールは意外と揺れて空想をまた取り落とす秋晴れの日に
(猪幸絵)
蛾のねむり知らざりし四十年、ながき絵巻の空のそこここに飛ぶ
(内山晶太)
身支度の鏡のなかに降る雪は着地をなさずのらりくらりと
(阿部久美)
水流が馬の筋肉に見えるとき力が力を征す気配す
(生沼義朗)
ごきげんな秋のわたしをタバコとかくちぶえな気分に巻き込むな
(斉藤斎藤)
顔のなき茹で玉子のから剝きゆけば顔のなきゆで玉子あらはる
(真木勉)
コスモスの庭にたたずみ見わたせば風の抜け道あの世への道
(杉山春代)
朝のゆかより拾ふごきぶりの肢(あし)二本ほか何もなしこの死をよみす
(酒井佑子)
一つずつ終わらせてゆく些事・大事 冬空晴れる東京の街に
(西勝洋一)
渡り来て冬のいそぎに鳴きかはす水鳥のこゑは枯葦のなか
(渡英子)
****************************************
短歌人1月号、同人1欄より。
(猪幸絵)
蛾のねむり知らざりし四十年、ながき絵巻の空のそこここに飛ぶ
(内山晶太)
身支度の鏡のなかに降る雪は着地をなさずのらりくらりと
(阿部久美)
水流が馬の筋肉に見えるとき力が力を征す気配す
(生沼義朗)
ごきげんな秋のわたしをタバコとかくちぶえな気分に巻き込むな
(斉藤斎藤)
顔のなき茹で玉子のから剝きゆけば顔のなきゆで玉子あらはる
(真木勉)
コスモスの庭にたたずみ見わたせば風の抜け道あの世への道
(杉山春代)
朝のゆかより拾ふごきぶりの肢(あし)二本ほか何もなしこの死をよみす
(酒井佑子)
一つずつ終わらせてゆく些事・大事 冬空晴れる東京の街に
(西勝洋一)
渡り来て冬のいそぎに鳴きかはす水鳥のこゑは枯葦のなか
(渡英子)
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短歌人1月号、同人1欄より。