気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

草に追はれて 中林祥江 現代短歌社

2022-01-05 12:33:08 | つれづれ
農政を叫びて握手求め来し政治家の手はわれより白し

本を読む少女の靴のつま先が折々あがる朝の電車に

わが憂さが指の先より抜けるゆゑ今日も一日庭の草ひく

すばらしき歌が野良着のポケットに粉々になり竿に乾きぬ

風呂敷にパソコン包み普及所へ農業簿記を教はりにゆく

幾度も剥がれては貼らるるポスターの政治家つひに川に落ちたり

分類すれば働く事と遊ぶこと学ぶといふは遊びに属す

喧嘩ばかりしてゐる夫婦でありますに仲よろしなと医師に言はれつ

四画目は左にぐつと突きだせり平等院の石柱の「平」

白鷺のとなつたやうに遅れさく白木蓮に夕やみがくる

(中林祥江 草に追はれて 現代短歌社)

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現在は塔短歌会所属の中林祥江の第一歌集。農業、家族、労働の歌が中心をなしている。モノを見る観察眼にも確かさがあり、惹かれる歌集だ。
ものすごく真面目で、真面目すぎるところから出てくるユーモアがある。わたしとそう年齢は変わらないのだけれど、環境が違っていて、違いを楽しみながら読ませていただいた。みんな違ってみんないい。

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