気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-07-01 19:05:50 | 朝日歌壇
水路より出て信号を無視したる鴨にはじまる梅雨の渋滞
(島田市 水辺あお)

備忘メモ掌(てのひら)に書く母なりき逝きたる日にも「切手」とありぬ
(東京都 烏山みなみ)

はぐれてる自分を探す手つきして若きらずっとスマホ操る
(群馬県 小倉太郎)

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一首目。歌の前半を読んで、何だか乱暴な人だと思っていると、主人公は鴨。渋滞の原因が鴨というのは、よく聞く話題ではあるが、やはり微笑ましい。上から下へとストーリーがうまく運んでいる。
二首目。亡くなられたお母さまは、ずっとご病気だったのか、急なことなのかはわからないが、切手を買いに行けるくらいには、お元気だったのだろう。その切手を貼った便りはどこ宛てだったのだろうか。作者とともに、私たちも想像して切なくなる。
三首目。いつの間にか、携帯電話はスマホの時代になったようだ。携帯とスマホでは操作が違うので、手つきも違ってくる。自分探しは、やや言い古されたフレーズではあるが、時代を反映した歌だと思った。

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