気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2011-01-24 20:35:18 | 朝日歌壇
ひゆんひゆんと己が周りに透明の繭を成しをる二重跳びの子
(可児市 前川泰信)

映らねば上をたたきし日のありきテレビは家族のまん中に居た
(我孫子市 梅田啓子)

売り出しののぼりはためく冬の街百円ショップに爪切りを買う
(群馬県 眞庭義夫)

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一首目。縄跳びという言葉を使わずに巧みに縄跳びの様子を描いている。透明の繭という言葉がうまい。ひゆんひゆんというオノマトペも効いている。情景が目に浮かぶ。
二首目。内容はなつかしい昭和レトロ。歌の作りは、文語と口語の混合。上句で「たたきし」「ありき」で文語の過去の回想の助動詞「き」を使っているので、下句でもこれを使うわけには行かない。そこで「居た」の口語になった。文語と口語が違和感なく収まっている。わたしなどパソコンが立ち上がらないと抱っこして温めてやったりする。非科学的で効果は疑問だが、せずにおられるような気持ちになって・・・。
三首目。百円ショップは便利だが、世の中全体として、いかがなものかと思う。京都出町の枡形商店街など、百円ショップができて、むかしからあった雑貨屋も文房具屋も、商売が成り立つのかと思うほど活気がなくなった。売り出しののぼりが虚しく見える。
爪切りというささやかな具体が出て歌は生き生きしているが、冬の街はやはり寒々しい。

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