気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2013-12-02 22:55:47 | 朝日歌壇
哲学に四季はなけれど哲学の道に四季あり四年学べる
(横須賀市 丹羽利一)

前科者ばかり演じてきましたと言いて健さん勲章を受く
(日向市 黒木直行)

出棺の亡き父送る木遣(きやり)歌職人の声切々と響く
(東京都 尾張英治)

************************************

一首目。哲学の道は、京都市左京区の銀閣寺あたりから南禅寺に至る疎水沿いの道を言う。京都大学に近く、この周辺は昔から学生が思索にふけりながら散策するコースだった。いまは観光客が多く訪れる。作者もきっとこのあたりで学生生活を送ったのだろう。上句にやや説明的な感じがするが、わかりやすい歌。
二首目。このたび文化勲章を受章した高倉健へのお祝いの歌。そういえば犯罪者の役も多かった。前科者役と勲章のギャップが興味ふかい。映画「鉄道員(ぽっぽや)」で、仕事一途なために子供の死に目に会えなかった話が印象深いが、仕事熱心というより仕事依存。家族から逃げている男のように思えた。
三首目。事実を述べた歌、職業の歌として好感を持った。「切々と」にやや感情が入っているか。


最新の画像もっと見る