眼を病みし和上の記憶に映したる花影は白きたまなす瓊花
水に生(あ)れしとほき記憶の目覚めつつ梅雨の窓辺に読む散文詩
をみなごの掌にて掬へる螢火のみどり女(をんな)の咽頭(のみど)を照らす
咲ききはむる花の哀しみ これ以上咲くことはない今年の桜
きちきちと水面に鳥の声ながれみなつき杜に夏闇ふかし
晩秋の古寺にあかき野苺を喰みつつ錯誤の坂下りゆく
生きて在る罪と悲しみわれにあり甕満つ水のほのにほふ夜
散り敷ける花びらを喰む鹿のゐて飛火野(とびひの)に春は緩らかに過ぐ
肩車の高さより見し春の空 そののちの父の無念は知らず
口中に死者の悲しみ包むごとしグラウンド-ゼロのzi‐rouなる韻き
(英保志郎 瓊花 短歌研究社)
***************************************
短歌結社「青樫」の編集・発行人である英保(あぼ)志郎氏と、先日行われた「日豪合同歌会」でお会いする機会があり、歌集を交換することになった。
青樫のことを、よく知らなかったが、塚本邦雄が関わっていた結社だと、教えていただいた。もの知らずで、失礼をしてしまったが、親切に経緯を話してくださった。
歌集の題名『瓊花』は、「けいくわ」=「けいか」と読むのだろう。紫陽花のことのようだ。
歌集は、短歌のお手本といった様相で、端正な歌が並ぶ。
歌歴四十年の満を持しての第一歌集。装丁も美しく、読み応えがあった。
水に生(あ)れしとほき記憶の目覚めつつ梅雨の窓辺に読む散文詩
をみなごの掌にて掬へる螢火のみどり女(をんな)の咽頭(のみど)を照らす
咲ききはむる花の哀しみ これ以上咲くことはない今年の桜
きちきちと水面に鳥の声ながれみなつき杜に夏闇ふかし
晩秋の古寺にあかき野苺を喰みつつ錯誤の坂下りゆく
生きて在る罪と悲しみわれにあり甕満つ水のほのにほふ夜
散り敷ける花びらを喰む鹿のゐて飛火野(とびひの)に春は緩らかに過ぐ
肩車の高さより見し春の空 そののちの父の無念は知らず
口中に死者の悲しみ包むごとしグラウンド-ゼロのzi‐rouなる韻き
(英保志郎 瓊花 短歌研究社)
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短歌結社「青樫」の編集・発行人である英保(あぼ)志郎氏と、先日行われた「日豪合同歌会」でお会いする機会があり、歌集を交換することになった。
青樫のことを、よく知らなかったが、塚本邦雄が関わっていた結社だと、教えていただいた。もの知らずで、失礼をしてしまったが、親切に経緯を話してくださった。
歌集の題名『瓊花』は、「けいくわ」=「けいか」と読むのだろう。紫陽花のことのようだ。
歌集は、短歌のお手本といった様相で、端正な歌が並ぶ。
歌歴四十年の満を持しての第一歌集。装丁も美しく、読み応えがあった。
英保志郎先生の短歌集「瓊花」のことが書いてありましたので、お邪魔いたしました。
私は「瓊花」を英保先生のご本の表紙で初めて知りました。 それで娘と昨年5月に早速見に行きました。本当に美しい白き玉花でした。 その時の写真が奈良新聞に載っていましたので、ちょっと、勝手ながらお知らせさせていただきました。(和上ゆかり清らかな白=唐招提寺の瓊花)で、写真が出てまいります。お暇なときにご覧下されば幸いです。。 もし英保先生のブログをご存知でしたら教えていただけませんでしょうか? 他意、悪意は全くございません。短歌を愛する者の一人です。
英保先生とは、一度か二度お会いしただけです。ブログをしてられるのかどうかも知りません。もし、してられるのなら、ネットで検索すればわかるのではないでしょうか。
素敵なブログ、時々お邪魔させていただいております。
素敵な歌、いっぱい作ってください。