気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

葉山暮色 若林のぶ

2005-03-28 22:48:02 | つれづれ
趣味を通じ楽しく対話するなんて馬鹿馬鹿しくはないのかどしや降り

倚りかかつてもいいのぢやないのこのベンチ不都合な事は一つづつ終る

高瀬氏は恋人なのか それつきりもの言はぬ夫との夕餉を終へぬ

いのち濃きものは清しき葉鶏頭 葉の芯までもひたにくれなゐ

どなたさまか醜きものを美しくして下さるといふ海へ行きます

(若林のぶ 葉山暮色)

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短歌人4月号の三角點のページで若林のぶさんが「歌歴六十年」と書いておられる。そこに「私も初心に還って六十一年の一歩を踏み出したい」とある。この若さに感動する。
奥村晃作短歌ワールドの日記を見ると、斉藤斎藤『渡辺のわたし』批評会にも若林さんは出席された様子。すてきなお手本を見る思いがする。

私も、ずっと気にかかっていたことが、ひとつ解決する気配。自分でどうしようもなくなるとき、若林さんの「不都合なことは一つづつ終る」という言葉に何度も励まされた。
画像は宝ヶ池公園のベンチ。

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3 コメント

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Unknown (あづまはや)
2008-04-14 02:52:12
 「苦しい時のかすみ草参り」。
 刺激に乏しい生活をしている私にとって、新旧に関わらず、近藤さんのブログを拝見させていただいて、近藤さんの作品や、近藤さんご推奨の方々の作品に接することは、何物にも替え難い、栄養補給の機会なのです。今回も、近藤さんのお導きで、私にとって全く未知な歌人である、若林のぶさんを知ることが出来、大いに栄養補給し、勉強させていただきました。
 「趣味を通じ楽しく対話するなんて馬鹿馬鹿しくはないのかどしやぶり」。「詠みも詠んだり、言いも言ったり」という感じの傑作。特に、末尾の「どしやぶり」が絶妙ですね。
 機会があったらまた、若林のぶさんの作品をご紹介下さい。
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Unknown (あづまはや)
2008-04-14 03:39:59
「どなたさまか醜きものを美しくして下さるといふ海へ行きます」
 この作品の末尾の突き放し方もいいですね。
 「どなた様か存じ上げませんが、この世の中には、どんな醜いものでも美しくして下さるお方がいらっしゃるそうな。ほんとかしら?」「それはどうでも、私は今日は海へ行きます。なーに、少しぐらい陽に焼けたって、かまいやしない。私はもともときれいなんだから」って、ところでしょうか。
 この歌と言い、一首目と言い、若林さんの歌は、ある種のカタルシスを感じさせます。
 「高瀬氏は恋人なのか、~~」もなかなか。短歌人に結集する女性歌人共通の恋人(カリスマ)、高瀬さんがお亡くなりになって、何年になりましょうか。今は、小池さんですか。
 
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Unknown (かすみ)
2008-04-14 11:51:56
あづまはやさん こんにちは。
私自身も古い日記を読んで、思い出すことあり、ココロが動きました。このときは当時大学生だった娘の就職が決まったときだと思います。長い子育てが終り、肩の荷が下りかけたときです。その後、スポーツクラブに通うようになりました。
こんなブログでも、ちゃんと読んで喜んでくださる方がいて、幸せです。コツコツとやって来た甲斐がありました。

若林のぶさんは、去年短歌人会を退会されたようです。くわしいことは知りませんが、歌会で退会の挨拶をして、その場を去られたと聞いています。とても残念です。潔い人なので、だらだらと続けることを良しとされなかったのでしょう。退会されてからも歌集は出ています。http://rikkasyorin.com/

高瀬さんは、2001年になくなられているので、2002年から入会した私は全く高瀬さんのことは知りません。ただ、今も、同人会員の間で「高瀬さんの励ましでここまで来た」という声を常に聞きます。

短歌人会は、編集委員制で、主宰者がいるわけではありませんが、発行人・中地俊夫、編集人・小池光が中心の会です。
見本誌をお取り寄せになったらいかがですか。
http://www.tankajin.com/
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