盆休みの帰省促す子への電話命令のごと懇願のごと
落つるたび点滴液の光るゆゑ身ぬち次第にひかりゆくべし
沈丁花赤むらさきの耳あまた尖らせ風を聞き分けてゐる
極楽の余り風とぞ母言ひき物縫ひてゐる手にあそぶ風
蚊を打ちて開けば三筋くきやかに劇的なること起こらぬ手相
咲く花の気負ひも熱ももたざれば桜紅葉の色のよろしさ
春来るを信ずるものの明るさにクロッカスの芽はやも出揃ふ
(山下柚里子 秋の果実 六花書林)
*****************************
山下さんの歌は自然体で読みやすい。
呼吸器に病気を持っておられて、点滴の歌もあるが、点滴の液で身のうちがひかるという明るい内容。気持ちの持ち方なのだろう。前回引いた歌に、おかめの面の歌があるが、芯のところで良い方向を見ていこうとされているので、読んでいてほっとさせられる。
なお、この歌集の表紙は娘さんが描かれたとのこと。そのことも併せて読むとまた興味深い。
落つるたび点滴液の光るゆゑ身ぬち次第にひかりゆくべし
沈丁花赤むらさきの耳あまた尖らせ風を聞き分けてゐる
極楽の余り風とぞ母言ひき物縫ひてゐる手にあそぶ風
蚊を打ちて開けば三筋くきやかに劇的なること起こらぬ手相
咲く花の気負ひも熱ももたざれば桜紅葉の色のよろしさ
春来るを信ずるものの明るさにクロッカスの芽はやも出揃ふ
(山下柚里子 秋の果実 六花書林)
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山下さんの歌は自然体で読みやすい。
呼吸器に病気を持っておられて、点滴の歌もあるが、点滴の液で身のうちがひかるという明るい内容。気持ちの持ち方なのだろう。前回引いた歌に、おかめの面の歌があるが、芯のところで良い方向を見ていこうとされているので、読んでいてほっとさせられる。
なお、この歌集の表紙は娘さんが描かれたとのこと。そのことも併せて読むとまた興味深い。