気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2010-12-27 19:49:52 | 朝日歌壇
納骨日母の骨箱抱へつつ厨居間など見せて回れり
(八王子市 瀧上裕幸)

「大晦日妻の歩巾(ほはば)で買物す」亡夫の手帖にみつけた俳句
(秦野市 相原伸子)

ぽつぽつと去年のことを語り出す不思議な袋わが冬帽子
(川崎市 藤田恭)

************************************

一首目。亡くなって骨になったお母さまであっても、生きているかのように、思い出のある家の中を見せて歩く作者の優しさに感動した。私も両親を亡くしているが、ただ祭っていただけで、そこまですることは思いつかなかった。歌としては漢字が多い気がするが、厳粛な気持ちを表すのにはこれがいいのかもしれない。
二首目。亡くなったお連れ合いの俳句をそのまま上句として、下句を作者がつけて完成した歌。まさに夫婦合作だ。俳句の内容も夫が妻を思いやる歌で、これを見つけた作者はまた涙されたことと思う。こういう歌は一生に一回しか出来ないだろう。
三首目。冬になると防寒のために毛糸の帽子をかぶる。その感触から去年の冬のことが思い出されたのだろう。「不思議な袋」と「わが冬帽子」は、同じものについて言っているが、「不思議な」という物の見方があるので、これで良いと思う。


最新の画像もっと見る