気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2009-03-02 20:28:14 | 朝日歌壇
耳寄せて張り確かむるティンパニー奏者は密語聞き取るらしき
(横須賀市 丹羽利一)

「英語青年」休刊の記事切り抜きて書斎に入りぬ黙して夫は
(東村山市 岡本和子)

雪光りマーブルチョコのような子がコロコロとび出る昼の校庭
(青森県 向山敦子)

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一首目。楽器と演奏者の親密な関係がよくわかる一首。愛用の楽器と奏者は夫婦か恋人のようになってしまうのだろう。お互いの体調に常に心を寄せる。人間以上の親密さかもしれない。
二首目。買ったことはないけれど、「英語青年」という雑誌があることは知っていた。作者の夫は長い間の愛読者で大きなショックを受けられたのだろう。雑誌と言えども、長い付き合いの親友のようなもの。
雑誌は、売れなければ、廃刊になる運命に抗うことは出来ない。
三首目。これは楽しい歌。雪で白くなった校庭に、マーブルチョコのような色とりどりのジャンパーを着た子供たちが飛び出して来た。視覚的にも明るく生き生きしている。マーブルチョコを知らない人はないだろう。どの色から食べるか、だれもが迷ったはずのお菓子。「コロコロとび出る」もぴったりの表現だ。

「主婦の友」廃刊となり女らはひとりひとりの「STORY」を生く
(近藤かすみ)


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