気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

パンの耳④ つづき

2021-03-22 10:48:24 | つれづれ
ちくわの穴のぞけば平らになる視界 読経の僧も仏壇のなか
縞馬は縞パタパタと外しゆき無地の一頭ゴールに入る
(河村孝子)

見つけたら拾いたくなるいつだって 帽子のどんぐり今日のどんぐり
少しずつ海は開けてケーブルカー がくんがくんと山に近づく
(甲斐直子)

のみどへとナガノパープル落ちてゆく球体の張りそこなはぬまま
ゆつくりと筒をまはして出してみるマスクの下に塗る紅の色
(長谷部和子)

目に見えぬ未知の気配に追われつつ今日のひと日を無言で過ごす
ふれあえば人の心がわかるなどおこがましいことでも触れたくて
(鍬農清枝)

柘榴の実こぼさず掛かる額縁の右の角から暮れてゆく秋
裏山へそのまま続く校庭の赤くなったら触れていた櫨
(岡野はるみ)

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「パンの耳④」から。コロナの影響で人とのつながりが薄くなった昨今、家に籠ったり、森へ行ったり、ちょっと遠足の気分で出かけたり。個性が光る。

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