気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人2月号 同人のうた その3

2012-02-17 22:34:54 | 短歌人同人のうた
頭上には五機編隊のヘリが行きわれはビオラの黄(きい)を購う
(林悠子)

吾妻橋にスカイツリーを撮るひとらみな縦位置にスマホをかざす
(井上洋)

筆圧の弱まりしゆえ計約の複写の文字の青きはかなさ
(知久安次)

母さんは幸せだつたよ透きとおる寒天ふるえて霜月二十日
(梶田ひな子)

この胸の深きところに雪は降りアールグレイの香をひき寄する
(春畑茜)

アマゾンに注文したる『うたの動物記』三十時間後頁をひらく
(染宮千鶴子)

捨てられる筈の電蓄引き取りてドーナツ盤の『碧空』を聴く
(北帆桃子)

散らかすという遺伝子が汲み込まれ子らよ済まない私のせいだ
(村田馨)

よき声は記憶に残り耳に残る 杳き小宮先生いま多さん
(蒔田さくら子)

珍獣のごとく寂しき裸にて紅葉の下湯に入りゆく
(長谷川富市)

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短歌人2月号、同人1欄より。

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