気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2014-01-20 17:57:50 | 朝日歌壇
原発で夢稼がんか誘いくる男の背中のるまあるらし
(ホームレス 坪内政夫)

芸多き猫の動画を見せられてわが家の猫は逃げ出しにけり
(岡谷市 岩田正恭)

「聞く耳」は考える耳じっくりと人の意見を吟味する耳
(春日井市 伊東紀美子)

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一首目。朝日歌壇では、数年前ホームレスの公田耕一氏の作品が話題になったが、いまは公田氏の作品は見られない。別のホームレスの方の作品が載るようになった。作者に、原発で働かないかという誘いがあるようだ。本当は「原発で金稼がんか」なのだろうが、そこはあからさまにならないように「夢」にしてある。「のるま」のひらがなが、いかにもという感じで目立ってしまっている。
二首目。一読、よくわかる歌。人間だって、立派な人の行いを見せられると、感心すると同時に疎ましく思うことがある。猫に託しているのがいい。
三首目。こちらは「耳」だけを出して、耳の働きに注目した作り方。吟味という言葉が的確。

きのうは、所属する短歌人会の新年歌会のために上京した。概して新聞歌壇の歌はわかりやすすぎ、言い過ぎが多く、短歌結社に属する人の歌は、わかりにくいものが多い。かく言う私の歌もわかりにくかったらしく、二票という結果だった。今回のわかりにくさは、風習のちがいで、私の場合が特殊だったので理解されなかったようだ。
歌は、つくづくむつかしい。


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