気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人7月号 同人のうた その2

2013-07-14 23:58:37 | 短歌人同人のうた
ほたるいか酢味噌にあへて食ぶればこの屈託もやがて春愁
(渡英子)

青森より送られて来ししじみ貝大和の水に一夜息づく
(斎藤典子)

ゆふなぎの水田の上に裾ながき八ヶ岳(やつ)がすつくと逆さまにたつ
(庭野摩里)

ふりかけの「旅行の友」は松尾さんのひきだしを出るランチタイムに
(谷村はるか)

十指みな握ったままに生まれきてひらいたままに死にゆきにけり
(室井忠雄)

つつがないムーミン一家の暮し振りほうれい線のような谷間で
(倉益敬)

三十年住みにし街をバスに過ぐ一生の真中の我に遇はずや
(望月さち美)

『寒雲』を包んでもらふ 古書店の主(あるじ)はあれを一度だけ見る
(大越泉)

ゆつくりと頭を剃つてひげ剃つてまゆを剃つたら顔なくなつた
(真木勉)

昼どきのテレビに学ぶ新型のおれおれ詐欺と朱鷺の食性
(森澤真理)

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短歌人7月号、同人1欄より。

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