気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2011-09-19 21:00:15 | 朝日歌壇
目に見えぬベクレル案じて暮らす日は空の奥処に黒い旗舞う
(福島市 青木崇郎)

日焼けした男子の手から真っ白なプリント回ってくる登校日
(富山市 松田梨子)

夕陽射すえのころぐさの花穂の先ふんわりむっつりかたつむり一つ
(福島市 伊藤緑)

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一首目。放射能の影響を案じる気持ちを、空の奥に黒い旗が舞うと表現したのが巧い。黒い旗がいかにも恐ろしげだ。不安を具体的な絵柄にしていて説得力がある。
二首目。日焼けした男子の肌の色と、真っ白なプリントの対比がいい。学校生活を離れると、男子女子という言い方から離れてしまう。
最近は「女子会」というのが流行っているらしいが、男子と呼ぶのは高校生くらいまでだろうか。女子は何故かなが~く女子でいる。
三首目。上句は情景の描写がよく、下句はリズムが面白い。早口言葉のようだ。声に出した読んでみると心地よい歌。

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