塩と酒撒いて巨木へ登る人こころ放ちて空へ入るらむ
飛び跳ねて笊をいやがる豌豆をもういくつ剝く青い匂ひの
天気図は西高東低うつくしき曲線となる水仙を切る
鼻と耳のきれいなピンク見えてるよ豚満載の小型トラック
姫女苑春紫宛の違ひまた言ひぬむかしばなしを繰り返すごと
靴のひも結び直してお茶の花こんなところにいくつも開く
はれひめもはるみ、はるかも蜜柑なり瀬戸の島より来たる女子たち
ふと聞きし金子みすゞの「中の雪」「上の雪」「下の雪」ひと日流れる
ホホジロの番(つがひ)まだゐる鳴きはじむ坐り直してわれもまだゐる
(足立晶子 はれひめ 砂子屋書房)
******************************
鱧と水仙同人の足立晶子の第五歌集。整った歌で、安心して読むことができる。余り人間が出てこないのも心地よい。作者のものの見方の独特さ、視点の面白さがあれば歌集を読むことは楽しい。途中4編のエッセイが挟まれている。歌集を編むのにこういうやり方もあるのだ。作中主体と作者がほぼ重なっているからだろう。
飛び跳ねて笊をいやがる豌豆をもういくつ剝く青い匂ひの
天気図は西高東低うつくしき曲線となる水仙を切る
鼻と耳のきれいなピンク見えてるよ豚満載の小型トラック
姫女苑春紫宛の違ひまた言ひぬむかしばなしを繰り返すごと
靴のひも結び直してお茶の花こんなところにいくつも開く
はれひめもはるみ、はるかも蜜柑なり瀬戸の島より来たる女子たち
ふと聞きし金子みすゞの「中の雪」「上の雪」「下の雪」ひと日流れる
ホホジロの番(つがひ)まだゐる鳴きはじむ坐り直してわれもまだゐる
(足立晶子 はれひめ 砂子屋書房)
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鱧と水仙同人の足立晶子の第五歌集。整った歌で、安心して読むことができる。余り人間が出てこないのも心地よい。作者のものの見方の独特さ、視点の面白さがあれば歌集を読むことは楽しい。途中4編のエッセイが挟まれている。歌集を編むのにこういうやり方もあるのだ。作中主体と作者がほぼ重なっているからだろう。