気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

どんぐり 大島史洋 現代短歌社

2020-04-23 23:25:13 | つれづれ
最後には歌が残ると言いたれどおのれの歌にあらぬさびしさ

人はついに分からぬからに卓上の眼鏡の玉を見つめていたる

絵のような写真は残る若き母父にもたれてリラの花の下

だんだんと変になりゆく自分なりそれを知りつつ少し楽しむ

ねんてんの随筆をよむつまんないなあと浮かぶねんてんの顔

始めあれば終わりがあるということば平凡にして身に沁みるなり

公園に陽を浴びているあたたかさこんな時間を吾は得たりき

比較するおのれの性を人間のゆえと思えど寂しきろかも

思うべし誰にもわからぬ終末を迎えつつあるホモ・サピエンス

暗闇の中に聞きいる朝のニュース生きたければみずからに守れ、と

(大島史洋 どんぐり 現代短歌社)