上流へむしろながれてゆくような川あり秋のひかりの中を
言うことに疲れ畳の制服の息子をひろい壁に掛けたり
境内に桜はあるを花咲けば桜のなかに寺あるごとし
るるるると巻き取るパスタ 正解を知っていながらいつも間違う
水はひかりを光はみずを弾きつつ滝壺ふかくに声をひびかす
水面へと鯉は盛んに口を出しもっともっとと求めてやまず
目鼻なくなるまで生きるということの人にはなくて石仏は立つ
一度しかない人生の一度目を生きて迷えり昼のメニューに
つかまえたはずが捕まえられていて洗濯ばさみに垂れるハンカチ
困ってることがあったら言ってよね困っていても困るのだけど
(松村正直 紫のひと 短歌研究社)
言うことに疲れ畳の制服の息子をひろい壁に掛けたり
境内に桜はあるを花咲けば桜のなかに寺あるごとし
るるるると巻き取るパスタ 正解を知っていながらいつも間違う
水はひかりを光はみずを弾きつつ滝壺ふかくに声をひびかす
水面へと鯉は盛んに口を出しもっともっとと求めてやまず
目鼻なくなるまで生きるということの人にはなくて石仏は立つ
一度しかない人生の一度目を生きて迷えり昼のメニューに
つかまえたはずが捕まえられていて洗濯ばさみに垂れるハンカチ
困ってることがあったら言ってよね困っていても困るのだけど
(松村正直 紫のひと 短歌研究社)