気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人3月号 同人のうた

2016-03-09 11:45:47 | 短歌人同人のうた
何杯目だろうか口から喉、耳へしみだすようにシロフォンが鳴る
(猪幸絵)

冬の日の訃報は悲し 竹田圭吾 田村よしてる デヴィッド・ボウイ
(有沢螢)

君の訃報受け止めがたく幾たびもメール読みおりガスの火止めて
(関谷啓子)

生きたかつた人 死にたかつた人 隣合ふ昨日今日明日おくやみの欄
(阿部久美)

あきらめて捨てて来たもの少年の日の金網の向こうの荒野
(八木博信)

すれちがう老人と犬ゆつくりと息を合わせて夜を曳きゆく
(木曽陽子)

婚をはさみちょうど同年ふたつ家ふたつの姓を生きたりしこと
(池田裕美子)

わするべくひとわすれゆく恥(やさ)しさにちかてつさりんちかてつさりん
(本多稜)

スクイジーに拭えば師走の空とくも磨いたようにくきやかにあり
(平林文枝)

つつがなく暖かな冬を過ごしおり枯芝色のセーターを着て
(小林登美子)

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短歌人3月号、同人1欄より。