気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人3月号 3月の扉

2016-03-03 14:22:41 | 短歌人同人のうた
骨のみの直立不動のすがしさよ雪の朝の百均の傘

百均のマジカルヘアーカラーにてボリュームを出す頭髪あはれ

(明石雅子 マジカルヘアカラー)

欲しいものはなく必要なものを買いに行く百均はいつも曇り日のよう

春の月がきれいな夜は思い出す百均の観葉植物のような人

(高田薫 百均と恋愛観)

小物入ケースも二年使いおりたかがされどの百円グッズ

百円の小さなリースをピンで止め台所で一人静かな聖夜

(前田靖子 たかがされどの・・・)

酒場にて田村野村をまへにして酒のむときにわが苦うすらぐ

麻雀をするはずだつた正月五日きみが葬(ほふ)りの骨ひろひをり

(小池光 田村を悼む)

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短歌人3月号。三月の扉より。
今月のお題は、百均グッズを詠む。

短歌人同人の田村よしてる氏が昨年末に急逝された。3月の扉の依頼を受けておられ、その分は四十年来の友人の小池さんが出詠された。いつも笑っていた穏やかだった田村さん。残念でならない。