気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人2月号 同人のうた その2

2016-02-15 11:11:24 | 短歌人同人のうた
鳩の首さながらわれも逍遥す仲見世通りに馴染みゆかむと
(斎藤典子)

径の角にだんじり信に満ちてあれば夏の光もそこにとどまる
(谷村はるか)

目ぐすりをさしてしばらく天仰ぐかたちすじんわり沁みゆけるもの
(蒔田さくら子)

竜田姫 母はわたしを分からないわたしはこんなに知つてゐるのに
(大森益雄)

テロリストになるべく生まれ育てられ貧しき国の若きら爆ぜる
(本多稜)

五年まえアルルの村に拾いたる胡桃が三ついまも窓辺に
(木曽陽子)

紅葉のライトアップの期間(とき)も過ぎライト転がる芝の一処に
(八木明子)

鳥の声入ると校正係りよりもどりしテープにしばし聞き惚るる
(寺島弘子)

サラリーの意味を問ひつつ四十年つひに解けずに終りゆくなり
(西台恵)

踊り場の隅で手紙の封を切る鉄の匂いの夕焼けの中
(青柳泉)

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短歌人2月号、同人1欄より。