気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人3月号 同人のうた

2012-03-09 00:50:18 | 短歌人同人のうた
風落ちて夕べ硝子戸のうち小暗し猫に猫の椅子われにわれの椅子
(酒井佑子)

砂、小石、花びら、枯葉、鳥の羽根 子の制服からこぼれくるもの
(鶴田伊津)

さしかはす林檎の枝の葉むらより窓の灯りは零れてゐたり
(佐々木通代)

千両の赤き珠実を挿しやればおとうとけふは美男となりぬ
(大橋弘志)

家々に薪積まれある冬の里色鉛筆は五色で足りる
(山下冨士穂)

いつはりのなき鉢花よ日にあてて水差しやればうすべにひらく
(阿部久美)

横書きが窮屈な日は墨を磨るもう幾年もそうして来たり
(梶田ひな子)

天気図の等圧線がうつくしい 小中英之読む冬の朝
(橘夏生)

地震のあと庭に雀は居なくなりほうほう呼べど風の音のみ
(大和類子)

この一年三つの病院わたりきてその差異もいふもつれる口に
(神代勝敏)

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短歌人3月号、同人1欄より。