気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人3月号 3月の扉

2012-03-03 01:16:06 | 短歌人同人のうた
どんな季節も彼の心を満たさないぶらりと両手ばなしの男子

走り出せばあふれるなみだ風に目を、たぶん心も、守ろうとして

(谷村はるか ある冬(自転車通勤))

まつすぐに影の伸びきて自転車の籠にあふるる早春の気は

粛粛とペダル踏みゆく新道の皇帝ひまはり皇帝ダリア

(曽根篤子 前輪後輪)

補助輪を一つはづしてそれつきり十一歳でやめた自転車

ハンドルを任せて風から守られていつもわたしはあなたのうしろ

(真狩浪子 二人乗り自転車)

停めた場所を探してまはる自転車は愛が足りぬと転びてをりぬ

里山に沿うて下る道自転車は都大路を駆くる春駒

(平居久仁子 駐輪場に)

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短歌人3月号、3月の扉より。今月のお題は「自転車」

谷村さん。少年の切実さのようなものが伝わる歌。彼女自身が永遠の少年少女のように思える。
曽根さん。早春と自転車の取り合わせが良い。爽やか。
真狩さん。どうもご本人は一人では自転車に乗らないらしい。わたしも子育ての数年は乗っていたが、恐くて乗れなくなってしまった。公園のようなところなら乗れそうだが、そこまでどうやって行くかが問題。
平居さん。自転車を春駒と捉えたところが面白い。愛用の自転車は彼女の相棒なのだろう。