食べかけの林檎残してゆきにけりスティーヴ・ジョブス罪人の子は
(木崎洋子)
入道雲のありしところは暮れてなお力みなぎる夜空となれり
(八木博信)
出口なき出来事ひとつ絡みつく飯の種ぞと言い聞かすのみ
(栗明純生)
労金へ向う途中のゴミ屋敷 見る一瞬の冥きたのしみ
(古本史子)
ゆるゆると生きていくばく残りたる時間の窪に秋立ちにけり
(佐藤慶子)
はや五十の春秋は過ぎわれといふいたがゆきもの今苦にはせず
(菊池孝彦)
写真館の部屋にひとつの季節あり家族写真という夕茜
(梶田ひな子)
とほうもなく遠いところに来たものと古き日記をひらきてわれは
(関谷啓子)
ちりぢりになりゆく庭の秋明菊のこりななつの花を惜しまむ
(小池光)
パソコンのたちあがる音に温みあると思ふまで秋深みゆく
(斎藤典子)
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短歌人12月号、同人1欄より。
(木崎洋子)
入道雲のありしところは暮れてなお力みなぎる夜空となれり
(八木博信)
出口なき出来事ひとつ絡みつく飯の種ぞと言い聞かすのみ
(栗明純生)
労金へ向う途中のゴミ屋敷 見る一瞬の冥きたのしみ
(古本史子)
ゆるゆると生きていくばく残りたる時間の窪に秋立ちにけり
(佐藤慶子)
はや五十の春秋は過ぎわれといふいたがゆきもの今苦にはせず
(菊池孝彦)
写真館の部屋にひとつの季節あり家族写真という夕茜
(梶田ひな子)
とほうもなく遠いところに来たものと古き日記をひらきてわれは
(関谷啓子)
ちりぢりになりゆく庭の秋明菊のこりななつの花を惜しまむ
(小池光)
パソコンのたちあがる音に温みあると思ふまで秋深みゆく
(斎藤典子)
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短歌人12月号、同人1欄より。