気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人12月号 12月の扉

2011-12-01 18:43:23 | 短歌人同人のうた
震度五の揺れにおどろき猫足の桃花心木(マホガニー)のピアノが動く

大人にはなかなかなれず少女から老女になるのはたやすいような

(若尾美智子 桃花心木のピアノ)

百一歳レニの死鼓動がとまつただけ記されあれば 羨(とも)しきものを

カテーテル挿入してないはうの手で十字切りたりいささか神妙

(椎木英輔 レニ)

草食系老人となり一年を生きたぞそりゃあ耐えてまだまだ

年を取ることにも慣れて来る年へ足取り軽く踏み出さんとす

(関根忠幹 老旬)

眠る前の耳に流れる水の音生まれる前の記憶みたいに

耐熱のガラスポットに開く茶葉日々はわたしの何も変えない

(高田薫 ささやかな風景)

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短歌人12月号、12月の扉より。