ゆうぐれの男の子女の子は蛍なりケータイという明かりともせり
(水谷澄子)
足裏より冷たき水が流れ来る被災地よりのハガキいちまい
(卯城えみこ)
カニ風味かまぼこの風味もつ蟹をわれ空想す机のうへに
(菊池孝彦)
とろとろと母のかたえに薄紙をほどけば干菓子の淡きももいろ
(佐藤慶子)
いつせいにゑのころ草は穂先立てあしたの風に千の猫呼ぶ
(寺島弘子)
ただひとつ懐かしむ秋鈴のごとしポケットの海に右手沈めて
(金沢早苗)
秋の水こぼさぬように呉羽梨(くれはなし)天地無用の箱にて届く
(木曽陽子)
投げ入れる銀貨ひらりと光りしを賽銭箱は音たてて取る
(平野久美子)
川の音(と)のリズムに歩調あはせたり尾花、とらのを、翔ぶアキアカネ
(渡英子)
カブトムシの雌といつしよに暮らしをりカブリーヌなる名前も付けて
(宇田川寛之)
**********************************
短歌人11月号、同人1欄より。
画像は京菓匠「甘春堂」さん、七五三のお祝いの干菓子です。
(水谷澄子)
足裏より冷たき水が流れ来る被災地よりのハガキいちまい
(卯城えみこ)
カニ風味かまぼこの風味もつ蟹をわれ空想す机のうへに
(菊池孝彦)
とろとろと母のかたえに薄紙をほどけば干菓子の淡きももいろ
(佐藤慶子)
いつせいにゑのころ草は穂先立てあしたの風に千の猫呼ぶ
(寺島弘子)
ただひとつ懐かしむ秋鈴のごとしポケットの海に右手沈めて
(金沢早苗)
秋の水こぼさぬように呉羽梨(くれはなし)天地無用の箱にて届く
(木曽陽子)
投げ入れる銀貨ひらりと光りしを賽銭箱は音たてて取る
(平野久美子)
川の音(と)のリズムに歩調あはせたり尾花、とらのを、翔ぶアキアカネ
(渡英子)
カブトムシの雌といつしよに暮らしをりカブリーヌなる名前も付けて
(宇田川寛之)
**********************************
短歌人11月号、同人1欄より。
画像は京菓匠「甘春堂」さん、七五三のお祝いの干菓子です。