空たかく抛りあげたり しばらくはわれが映りてゐたる鏡を
生も死も杳くありたり桃の実の熟るる匂ひがゆふやみに満つ
(原田千万 桃の匂ひ)
目瞑れば私の歳の亡母が居て堕落も懈怠もゆるしてくれぬ
よく生きるとはどのようなことだろう 大夕立にほぐれゆく羊歯
(高野裕子 三十一文字の憂鬱、あるいは愉楽)
いちめんの瓦礫みながらかへりたる燕ふたたびこの浜に来い
白波をめぐりにたてて泳ぎをりうしなひしもの背に生えるまで
(金沢早苗 八月の木)
口笛を吹きて仲間を集めむかリヴァー・フェニックスはもうゐないけど
ノンシャランと唱へてみたり陽はすでに天空にある八月の朝
(大越泉 ノンシャラン)
*************************************
短歌人10月号。秋のプロムナードから。
まだまだ続きます。
生も死も杳くありたり桃の実の熟るる匂ひがゆふやみに満つ
(原田千万 桃の匂ひ)
目瞑れば私の歳の亡母が居て堕落も懈怠もゆるしてくれぬ
よく生きるとはどのようなことだろう 大夕立にほぐれゆく羊歯
(高野裕子 三十一文字の憂鬱、あるいは愉楽)
いちめんの瓦礫みながらかへりたる燕ふたたびこの浜に来い
白波をめぐりにたてて泳ぎをりうしなひしもの背に生えるまで
(金沢早苗 八月の木)
口笛を吹きて仲間を集めむかリヴァー・フェニックスはもうゐないけど
ノンシャランと唱へてみたり陽はすでに天空にある八月の朝
(大越泉 ノンシャラン)
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短歌人10月号。秋のプロムナードから。
まだまだ続きます。