気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人9月号 同人のうた その3

2011-09-07 19:26:48 | 短歌人同人のうた
約束は破らるる為にあるらしき遠きかの日も雨のたなばた
(山本栄子)

テーマ曲流れて「小沢昭一的こころ」かくは暮れゆく納期に追われ
(柏木進二)

「止めるくらひなら死ぬはうがまし」口腔癌のフロイトあくまで葉巻止めざり
(木崎洋子)

考へるためのわが身に許されし震災といふゆたかなる鬱
(菊池孝彦)

人ならばいかなるおもひに吊らるると託つ私をわたしが笑ふ
(古川アヤ子)

泥いろの波のむかうにうす白き積木のやうな幕張・君津
(大森浄子)

この夏も雇用生まむとあら草は県道沿ひに繁るはげしく
(大橋弘志)

海流で薄まるという放射能次第次第に麻痺する心
(武藤ゆかり)

明日のことは明日思うべしぐらぐらと内腑を抉る不安のことも
(北村望)

つぎつぎに偶像落ちて この国は専制君主待望の様
(西勝洋一)

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短歌人9月号。同人1欄より。

わたしはわかりやすい歌を好むようだ。古川アヤ子さんのような自分を客観視する歌も良い。北村望さんの「花束」という一連には、感動した。