気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

今日の朝日歌壇

2011-08-14 20:10:12 | 朝日歌壇
トロフィーを掲げる数多の腕の中染めある爪に翡翠色あり
(鳥取県 長谷川和子)

色もなく汚染しずかにひろがりぬわら食(は)む牛にも肉食む人にも
(名古屋市 諏訪兼位)

潮風と夏日を包みし牧草のロール三百並ぶ丘の上
(稚内市 藤林正則)

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一首目。先日の女子サッカーなでしこジャパンの優勝の様子。作者は選手のマニキュアの翡翠色までよく見ている。いかにも女っぽい赤系統のマニキュアより翡翠色は彼女に似合っていたのだろう。スポーツに打ち込み素晴らしい結果を出しながら、おしゃれもしたいという気持ち。これを女心と呼ぶのはありきたりなので、あえて言わない。
二首目。放射能の汚染がどれだけひろがっているのか見えないことで恐怖が煽られる。
下句「わら食む牛に肉食む人に」とすると、七音七音であっさりとして余計に恐さが強くなるように私は思うが、作者は「も」をいれて八音八音で恐さを強調した。どちらが恐いかは意見の分かれるところだと思う。
三首目。一読、情景が目に浮かび爽やかな歌。時事詠の中にこういう歌が入っているとほっとする。