気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人8月号 同人のうた その2

2011-08-03 17:36:03 | 短歌人同人のうた
未来には不安があった青年期このごろ不安が薄らいできた
(吉岡生夫)

靴をはいたまま消えていつた人のこと水底(みなそこ)のやうなゆふべのひかり
(渡英子)

梅雨闇の闇ひときわ濃きところ旧かなの「あぢさゐ」は咲きたり
(藤原龍一郎)

暮れやすき町なり電車の音を聞き陸橋越えて真人は歩く
(平野久美子)

復(また)の春恃みて今年のさくら散り変はらぬものと変はりたるもの
(蒔田さくら子)

革命幻想ありて明るき六○年代 病む人はこんなに多くはなかつた
(西勝洋一)

大地震境に喫煙またはじめしを告ぐれば人はふかく項突く
(宮田長洋)

プラスチックボトルのラムネひとかどに頭上にのせるビー玉ひとつ
(林悠子)

ベクレルとシーベルトとの違いさえ分からぬままに新聞を読む
(村田馨)

待ちかねた孫のまなみの誕生に電車の中のガッツポーズや
(岡田経子)

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短歌人8月号、同人1欄から。
わかりやすく共感できる歌に心ひかれる。そしてちょっとしたユーモア。