気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人3月号 同人のうた その2

2011-03-24 01:21:54 | 短歌人同人のうた
じいじいとママとお風呂に入りたい、かかる言葉に胸をし突かる
(中地俊夫)

はしばみの実を菓子豆と教えられ食みし戦後の坊主頭よ
(長谷川富市)

TDLの花火はあがり夜の空に谷津遊園の廃墟見ゆるか
(藤原龍一郎)

プリンセス・マサコは重げに花いつぱいつけたる大き鉢の蘭なり
(蒔田さくら子)

雪見窓そっと開きてひと晩で去年の雪となる雪を見る
(岩下静香)

ながながしき自慢話を聞きし耳小雪まじりの風に冷ませり
(佐藤慶子)

アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク雪の夜は降れば降るほど明るくなれり
(渡部崇子)

一月の空の高きをゆく機体百の命を乗せて小さき
(古川アヤ子)

いたみ止め痒み止めある抽斗にかなしみ止めは無きかと覗く
(山下柚里子)

夜の更けに保存せしメール送信すあさぞらに鳩はなしやるごと
(榊原敦子)

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短歌人3月号同人1欄から。
東北地方の地震の前の歌。地震のあと、何かが確実に変わったと思う。地震前は「のんき」だった。そんな当たり前の暮らしがいまは懐かしく感じられる。もう戻れない。